複数の任意形状に異なるパターンを同時投影するマルチプロジェクタ・システム
 近年,拡張現実(AR)や複合現実(MR)においてプロジェクタを用いて空間的な情報を効率的に表現する効果をもたらすシステムが開発されている.例えばプロジェクション・マッピングは,建造物や人間などを対象に画像を投影し,もとの対象とは異なる映像情報を付加することで様々な視覚効果を実現することができる.しかし,プロジェクタからの投影は空間的に不変であり,対象の位置が変わっても変化しない.
 本研究では,複雑な自由形状を持った複数の対象に対して、同時に異なる映像投影を実現する.また,エピポーラ制約を用いることで、計算に必要な変数を大幅に削減し,計算量の多い複雑な最適化を実現する手法を開発した. これにより、投影像のダイナミックレンジの拡大を実現した.

 本システムは,2つのプロジェクタの投影光を重ね合わせることで複数の平面で異なる画像の同時投影を実現する.それぞれのプロジェクタで投影するパターンは深さ1で干渉して目標画像の(a)が投影される.そしてマネキンが深さ1から深さ2に移動する際にパターンは(a)ではなくなり,マネキンが深さ2に到達する際にプロジェクタの投影像は再び干渉しあい,(b)が投影される.

プロジェクタが2台の場合には,干渉しあうパターンはエピポーラ線上に限定されるため,エピポーラ線ごとの定式化が可能であり,複数の独立した小さな問題に分割できる.




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Kawasaki Laboratory